
夕やけ小やけの赤とんぼ
ヨシ子はチンピラ仲間で女王のような存在だ。カッ払い、万引、恐喝など朝飯前だ。その手口は、おとりに混血少年ノボルを使って人の注意をそらすというやり方だ。ヨシ子がグレた動機は、ヨシ子を連れて再婚した母が、父や息子の一郎に何かにつけて遠慮し、いつもヨシ子ばかり叱りつけたからだ。ノボルが歌が大好きだということを知ったヨシ子は、ジャズ学校へノボルを連れていくが、そこで肌の色のことを言われたノボルは逃げ出してしまった。泣く泣く帰りかけたノボルの耳に「夕やけ小やけの赤とんぼ」の旋律が闇えてきた。音は近所の盲学校の教室から流れていた。そこでは、盲目の少年田中進がヴァイオリンをひいていた。ノボルは進とすぐに仲良くなった。以来ノボルは盲学校へ行くようになり、その後をつけて行ったヨシ子も盲の子供たちのコーラスを聞くうち今までの自分を反省した。ヨシ子は盲学校の山口先生が一年一度でいいから子どもたちにナマの音楽を聞かせてやりたいと思っているのを知り、楽器屋のウィンドウに出ていたポスターをたよりに作曲家山田耕作の邸を訪ねるが秘書に追い返される。しかしいつもの手でノボルをおとりに山田邸に入ったヨシ子は山田先生に熱心に頼み、先生に進のヴァイオリンと盲学校生徒のコーラスを聞かせるまでにこぎつけた。が、秘書の妨害でまたも挫折。力つきて丘の上にたたずむヨシ子。そこへノボルが駈けつけてきて山田先生がくることを告げた。野外の会場、ヨシ子がバス会社の社長の父にたのんで貸してもらった無料バスで身体障害者の子やハーフたちが続々と集まってきた。指揮台には手押車にのった山田先生が……。八十名余の少年楽団員が演奏を初めた。そのとき警視庁の吹奏楽団が会場に向って行進してきた。そして頭上にきたヘリコプターからはお菓子の雨が……。米空軍のブラスバンドも行進してきた。山田先生の指揮で進少年が「夕やけ小やけの赤とんぼ」の前奏をひきはじめる。各バンドがそれに和して行く。みんな立ち上って合唱しはじめたのだ。
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